■政治部門:土肥隆一
 フォ−ラム第二回
 皆さんお元気でしょうか。日本はまさに選挙一色であります。私の選挙体制についてご報告いたしますが、その前に、5月14日夕刻、小渕恵三首相は死去しました。4月2日に倒れ、入院43日間にピリオドを打ったのです。
 すでに後任の森喜朗氏が首相に就任しておりますが、その首相継承についてわれわれに大きな疑惑を印象づけました。それ以上に日本の政治の暗部、密室性を改めて教えることとなったのです。小渕氏が入院してから19時間後、午後7時、青木官房長官が見舞います。その時、“後は万事よろしく頼む”と小渕氏が言ったというのです。それは“臨時首相代理を頼まれた”と青木氏は理解します。その後30分して、小渕氏は昏睡状態に陥ります。本日、初めて医師団の発表があり、当時、“医師は現場にいなかったが、首相はああした発言をなし得たことは驚きだ”と言っています。日本では総理の後継順位を決めておりません。その理由は後継者を予め決めておりますと、それが次期総理になる可能性が高くなるからというのですから、呆れてしまいます。アメリカと比べて隔世の感がします。
 その後がいけません。同日、青木氏を含む5人が都内ホテルに集まります。森氏、村上氏、野中氏、亀井氏そして青木氏の5人です。この5人で次期首相を森氏に決めたのです。これは密室政治そのものといえます。自民党主流派閥だけが集まります。自民党の執行機関も念頭にないのです。非主流の派閥は排除されます。閣僚にも伝えられません。私どもと同じくテレビのニュースで知ったという次第です。
 森氏に決められたことを自民党の国会議員団会議にかけ、これを承認し、党内手続きは終わったとします。皮肉なことに、同時に小沢自由党が分裂します。小沢氏は自民党から拒絶され、倒れる直前の小渕氏からそれを通告されるのです。政権から出たくないという自由党の半分の議員が残って保守党を結成します。その後公明党に承諾を求めて舞台は整います。後は本会議の首班氏名で、森総理が圧倒的多数で決定します。何故なら自民党と公明党そして保守党で7割に近い議席を占めているからです。
 私は、こうした政権交代の流れを見るにつけ、この国の政治のあり方に深刻な危機感を覚えるのです。民主主義は政治が透明で、常に公開されていることを尺度とすべきです。派閥、談合政治は議員内閣制(先ず議員が選ばれ、その後首相が選ばれる)の当然の結果であります。国民は誰が首相になるのか分からないままで投票するのです。日本の最高権力者は国民の手の内にはなく、首相は首相でいつも議員に気配りをして、第1派閥、第2派閥の支持を得なければならないのです。こうした気配り、配慮の積み重ねが小渕氏の健康を蝕んだと言っていいと思います。
 私は、将来は、大統領制度を導入して、政治の指導性と責任をはっきりさせる、国民が選択した権力者に委ねるような制度に変えるべきと考えます。これには憲法の改正が必要ですのでこれは長い時間がかかります。もう一つの方法は、2大政党制にして、常に第1党と第2党が政権選択を迫るような制度に変えるべきです。そうすれば、密室政治や派閥は解消され、政党主体の政治や選挙が行われ、国民は選挙で政権を選択できるでありましょう。そのために選挙制度の比例制をやめて小選挙区だけにして、一人だけを選ぶ選挙ですから、議員の選択は政党の選択に直結し、かつ過半数を取った政党が政権を形成するのであります。
 もう一つとんでもない事件が森総理から飛び出してきました。「日本は天皇を中心とする神の国」発言が飛び出したのであります。この「神国論」は神社神道政治連盟の総会での発言です。宗教と政治の問題は長い歴史を持っておりますが、その政教分離原則はこの国では未熟であります。キリスト教も長い教会と国家の構想の歴史を持っております。そして近世になって、ようやく宗教と国家の分離つまり政教分離の原則へと向かいます。ヨーロッパでは今もキリスト教民主党という政党がドイツにありますが、これはキリスト教世界であるドイツでは保守党の同義語といえます。ただイスラーム世界はいろいろ地域によって性格は異なりますが、特にアラブのイスラーム原理主義は宗教と政治の完全な一体化を理想としております。イランは革命後ホメイニ体制ができますが、今日では民主化が進みつつあります。日本神国論もイスラーム原理主義とでも言わないと説明ができないほど、唐突であり、まさかとは思いますが、森首相は教育勅語を再考すると公言しておりまして、戦前への回帰が見え隠れします。それにしても日本の戦後民主主義はなんだったのかということです。少なくとも今の政府は、首相は現行憲法の枠組みの中にあるのです。
 それにしても森首相の発言は常軌を逸しているといえます。否、保守党のリーダー達は実は同じようなメンタリティの持ち主ではないかと改めて認識した次第です。日本的政治状況をいろいろと考える時、深く絶望感にとらわれるのです。それでも3期10年にわたって議員を続けてこれたことは驚きの一語に尽きます。私の中に政治家に向いているとか、政治に一生を賭けるといった気負いもないのに、こうして政治生命が維持されてきたのは、まさに奇跡としか言いようがありません。神のわざであります。神様が人々を用いて道を開かれた、それは閉じられる時が来るでしょう。それもまた御心ですから、受け入れたらいいのであります。
 そして今、4回目の選挙の時が来ました。さまざまな政治的矛盾をわが身に刻み込みながら、荒々しい戦場に突入してまいります。6月25日投票日です。首相の大権であるはずの日取りですが、とにかくこの日なのです。私もすでに臨戦体制に入り、選挙事務所開きも盛大に行いました。私は兵庫県第3選挙区(神戸市須磨区、垂水区)でありまして、約40万人口を擁する選挙区です。神戸市は4つの選挙区に分かれ、兵庫県全体で12の選挙区に分かれます。さて、候補者といえば、民主党の私、自民党(新人で元市会議員)、共産党(新人)、新社会党(元職)、自由連合(新人)の5人が一議席を巡って闘います。予測は出来ませんが、私はこれまでにない充実感をもって準備を進めております。油断大敵、あと40日です。と申しましても、本稿が皆様の目に触れるころは決着がついているのですが。
 私は、当選が許されましたら、クリスチャン議員としての役割を一層果たして参りたいと考えております。政治的には、社会保障の新しい展開により安心できるシステムを確立することです。高齢社会の中の医療、年金、介護の諸問題等々と課題は山積しております。

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